チャリティーって実はそんなに難しいものではない
イギリス在住の佐藤さんが気づいた日本とイギリスにおけるチャリティーの認識の差
▶︎娘さんおふたり(左右)と佐藤さん(真ん中)
イギリスを拠点とし、チャリティーTシャツを販売する+KOKOLO(プラスココロ)さん。
2001年からイギリスに在住する佐藤真美さんは、中学校3年生と小学校6年生の娘さんおふたりと、昨年3月に活動をスタートしました。今回は佐藤真美さんに、+KOKOLOさんの活動のこと、そしてイギリスにおけるチャリティーの考え方についてお話いただきました。
「ロックダウン中に娘たちとできることがないか考えたのが始まり」
Tsuda Outreach (以下・TO):まず活動を始めたきっかけと活動内容について簡単に教えて頂けますか?
佐藤さん:はい。新型コロナウイルスの影響で、3月にイギリスでロックダウンがあり、子どもたちはどこにも行けないという状況が続いていました。そこで出来ることがないか一緒に考えてみようと娘たちに呼びかけたのが始まりです。
Teemillという、作成したTシャツを販売することができるイギリスのサイトがあり、作ったTシャツをそのサイトで販売し、売上をチャリティーとして団体に寄付しています。
日本にも、個人が作成したTシャツを売るサイトは多くあると思うのですが、Teemillは、環境に優しいオーガニックコットンを使っていること、そして着た後のTシャツがゴミになるのではなく工場に返すことで5%のバウチャーが戻ってきて、それをもとにまたプロダクトを作ることができる、いわゆる循環型モデルなのでその点に惹かれて利用を始めました。
また、寄付する団体も大きな団体ではなく自分たちで調べて支援先を選んでいます。現在はENPITSU PROJECTさんとWarm Heartsさんという団体さんに寄付しています。ENPITSU PROJECTさんは日本の学校や会社、家庭に眠っている文房具を途上国に送る活動をしている団体さんで、Warm Heartsさんは、コーヒー豆を販売し、売上の全てをマラウイの子どもたちの給食費として寄付している団体さんです。
TO: すごいです。とても活発に活動されているのですね。ちなみに海外と日本でチャリティーに対する考えには差があるのかなと思いますが、佐藤さんは日本とイギリスでチャリティー文化の違いについて感じることはありますか?
佐藤さん:それはとても感じますね。私たちが住んでいる街には、チャリティーショップが7個か8個くらい当たり前にありとても身近な存在です。またイギリスでは小さい頃から、チャリティー活動が沢山あります。クラスにはチャリティーリーダーがいて、クラスでどんなチャリティー団体を支援するか決めて、イベントの売上を募金しています。また、ノンユニフォームデイといって、私服を着てくる代わりに1ポンドのお金を持ってきて寄付する、という取り組みもあります。イギリス人にとってこれらの文化は当たり前なんです。
こっちにきてチャリティーって全然難しいことじゃないんだなと思いました。
日本でもイギリスのようにチャリティーの文化がもっと根付いたらいいのになと思います。
実は私の1番の夢は、日本にチャリティーショップを増やすことなのです。
TO: すごく素敵な夢ですね。佐藤さんがこれほどチャリティーに興味を持ったのはイギリスに来てからですか?
佐藤さん:そうですね。やっぱりイギリスに来たのが大きいと思います。日本ではチャリティーショップはあまりないですよね。以前、日本のオックスファム(貧困と不正を根絶するための継続的な活動を行う国際的な団体)に、なぜ日本にはセカンドハンドのチャリティーショップがないのかを聞くと、日本にはセカンドハンドの文化がまだ根付いていないからだと言っておりました。でも最近の若い人たちを見ていると、セカンドハンドに対しての抵抗感がなくなってきているのかなと感じる場面もあります。
TO: 確かにそうかもしれません。フリマアプリも流行ってきており、ネット上で個人間で物を売買できるようになったので、セカンドハンドに対しての抵抗感は薄れてきているように感じます。でも、これらの売上はチャリティーに使われるのではなく自分の利益として終わってしまうのが少し残念ですよね。
「小さい頃からチャリティーに触れる機会を」
TO:日本人がもっとチャリティーに関心を持つためにはどうすればいいとお考えですか?
佐藤さん:やはり学校教育で、小さい頃からチャリティーに触れる機会を設ける必要があると思います。私の娘は、学校で海にあるプラスチックについて学んだり、アマゾンについて学んだりするようです。娘たちが家でたまに授業の話をしてくれるのですが、その話を聞いて私自身も環境問題やチャリティーに興味を持ったので教育の力は大きいと思います。
TO:なるほど。確かに日本人は5教科の勉強ばかりで社会問題について学校で学ぶ機会がないですしね。もっと子どもたちが小さいうちからチャリティーに触れることができれば、チャリティー=身近なものだと感じてもらえるようになりそうですね。
本日は貴重なお話をありがとうございました。
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文:有馬果歩(津田塾大学総合政策学部3年)
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