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  • 執筆者の写真Tsuda Outreach

NPO法人 AfriMedico様

更新日:2023年5月18日



日本の文化で

「医療を通じて、アフリカと日本をつなぎ、健康と笑顔を届ける」




「医療を通じて、アフリカと日本をつなぎ、健康と笑顔を届ける」をモットーに、日本発祥の置き薬の仕組みをアフリカに普及し、当たり前の医療を届けるNPO法人AfriMedico。今回はAfriMedicoの活動のことについてお話していただきました。


 


「日本の文化をアフリカに。

置き薬を使った持続的な仕組み」


Tsuda Outreach (以下・TO):まず活動を始めたきっかけと活動内容について簡単に教えて頂けますか?


AfriMedico:はい。私たちは、医療を通じてアフリカの子どもと日本を繋ぎ、健康と笑顔を届けるというミッションを軸に活動しています。ここでのポイントは『置き薬』という言葉をあえて使っていないことです。置き薬はミッションを達成するための手段であり、それが全てではないのです。

活動のきっかけは、薬剤師の資格を持つ代表の町井が、アフリカのニジェールで青年海外協力隊として活動していた経験を通して、「その場だけでなく、持続的に援助できる仕組み」こそが根本的な支援につながると考えたことです。


TO: 置き薬とはどういった仕組みですか?


AfriMedico:置き薬とは、日本発祥の伝統的な医療モデルの1つである、配置薬のことです。この文化をアフリカに広めるべく活動しています。とくに都市から離れた村落部の各家庭に対して、配置薬を紹介し、より良い医療をより多くの家庭に届けることを目的にしています。


TO: 置き薬を導入したきっかけはなんですか?


AfriMedico:アフリカの農村部の状況や医療における問題点が、置き薬が主流であった時代の日本の状況と似ていることです。この問題点が、置き薬のシステムと合うのではないかと考えました。


TO: なるほど。当時の日本の状況とアフリカの状況を重ね合わせているのは、とても面白いですね。問題点は具体的にはどういったものがあるのでしょうか?


AfriMedico:大きく2つあります。1つ目は、病院が遠かったり、待ち時間が長かったりするなど、時間的、費用的負担が大きいことです。病院があっても、公共交通機関が発達しておらず、長距離タクシーを頼むことになるので経済的負担がかかります。車も電車もない地域にとっては、バスが一番安価な移動手段となりますが、本数や運行状況に左右されます。2つ目は、病院に行っても必要な薬が置いていない在庫の不安定さや、医療費が高いことが挙げられます。


TO: なるほど。この2つは置き薬が主流であった江戸時代の日本にも言える問題点ですね。


AfriMedico:他にもアフリカでは偽薬の問題があります。偽薬とは、簡単にいうと、見た目は薬だが実は中身は単なる小麦粉であるといった偽の薬です。処方した薬が偽物である可能性もあるため、医師は薬を処方する際に慎重にならざるを得ないそうです。これらの問題を置き薬によって解決できるのではないかと思っています。


TO: 偽薬、初めて聞きました。置き薬はこういった問題にも対応しているんですね。


AfriMedico:はい。ただ300年前の置き薬の文化をそのままアフリカに持っていくだけではだめなんです。例えば、日本ではほとんど例がない、水質悪によって起きるマラリアや下痢の症状への対応をしてます。また、各家庭に置くというのが日本の置き薬の特徴なんですが、アフリカでは村の役場や学校など多くの人が集まる場所にあることが多いです。


TO: なるほど。色々工夫されているんですね。面白いです。




「活動を進めていく中で見えてきた課題や苦労」


TO: 実際に活動していく中での課題は、どのようなものですか?


AfriMedico:はい。置き薬と聞いただけではイメージし難いと思いますが、実際にやってみると課題は山積しています。例えば、顧客台帳の計算が合わない、払った金額と貰った金額の不一致などです。改善方法としては、出来るだけ図式化をして一目でわかるようにしています。例えば、新型コロナウイルスが流行った時に、小中学校に現地スタッフがスワヒリ語に訳したポスターを貼ることで啓発を行いました。症状の説明を他の病気のものと比較して、分かりやすくするなど工夫しています。


TO: なるほど。アフリカの人は識字率が低いという話を聞いたことがあるのですが、ポスターや薬の説明を現地の人は理解できているのでしょうか?


AfriMedico:そうですね、祖父母、親世代より教育を受けることができている子どもが増え、識字率そのものは上がってきています。実際に顧客にアンケートを取ったのですが、それによると各家庭に1から2人、字が読める人がいるのは把握しています。しかし、子どもが薬についての説明を読めても理解できない問題がありますね。識字率が高いもののイラストを使う理由は、ここにあります。


TOAfriMedicoの活動を始める前の準備段階で、どのようなことが大変だったのですか?


AfriMedico:まず、日本においてどのようにして置き薬が浸透していったのかを日本の会社にヒアリングをし、実際に利用しているご家庭への訪問に同行して調べました。次に、アフリカのどこに提供するかを考えるのですが、タンザニアの薬剤師さんに置き薬に興味を持っている方がいて、その方が紹介してくれた村へ最初に行きました。


TO:実際に現地へ出向いて病院や薬局を回ったのですね。


AfriMedico:そうですね。村が決まった後にも苦労がありました。まずは村の近くにある医療機関の数や距離、それぞれのクリニックで地域ごとに流行っている病気や亡くなった人の原因などを、実際に現地に足を運んで可能な限り調べました。また、薬局の場所や扱っている薬の値段なども調べます。その結果、輸送に時間とお金がかかる地方では、都会よりも3倍ほど高い値段で薬が売られているという課題が見えてきました。


TO:なるほど、コストを抑えていくことも課題になっているんですね。



TO置き薬の活動をされている中で、タンザニアならではの、やりづらさはありますか?


AfriMedico主に2つあって、まずは薬の運搬費用の問題です。都会から運ぶにはインフラが完備されていない道を通るので、車をお願いしています。しかし、長距離をタクシーで移動するようなものなので、かなり費用がかかっています。次に、タンザニアだけではなくアフリカ共通の問題かもしれませんが、支援や援助を頻繁にされている地域なので、※1先用後利のシステムを理解してもらえないことが挙げられます。これはもらえるものだ、と捉えられてしまい、利用費を回収できないことがあります。このように、支援・援助に慣れてしまっているのが、アフリカならではのやりづらさなのかなと思います。こちらが丁寧に説明していくことが必要と考えています。


TOなるほど。言葉や文化のギャップ以外にも、「援助に慣れている」ことによる捉え方の違いがネックのひとつになっているのがとても新鮮に感じました!


※1 先用後利 先に薬を使用してもらい、後から使用分のみの代金を支払ってもらう


「未来のAfriMedico」


TO:これからの展望はありますか?


AfriMedicoはい。私たちは置き薬を届ける以外にも、クラウドファンディングで有志を募って、新しい挑戦をしています。今までは日本からアフリカへの一方通行だったのですが、日本とアフリカを循環する、両国にとって良いことをしていきたいと思っています。


TO:具体的にはどのようなことをされるんですか?


AfriMedico一つの例ですが、日本の子どもたちにアフリカの文化を知ってもらうプロダクトを作り、そこから得た利益をAfriMedicoの活動に還元していく、これを循環させる仕組み作りに取り組んでいます。プロダクトの例として、アフリカのことわざを学べる絆創膏、アフリカに生息する動物に関するポスターが入っているバスボムや、パズル石鹸です。パズル石鹸はコロナ禍で手洗いが重要になった今、手洗いを楽しくしてもらうと共にアフリカにも触れてもらえるきっかけになるのではないかと考えています。


TO:なるほど。動物を使った物だと、小さい子にも興味を持ってもらえそうですね。





AfriMedicoさんからのコメントや読者の皆様へのメッセージ


AfriMedicoでは、9月17日(土)に国際平和の日(ピースデー)の一環としてオンラインイベントを開催いたします。当日はAfriMedicoの理事町井・坪井がゲストをお招きし、タンザニアの医療事情や置き薬活動についてお話しします! タンザニアからの帰国直後となりますので、現地の情報もたっぷりでお届けしたいと思います!是非ご参加下さい。


 

<AfriMedicoさんの活動一覧>


ホームページ :https://afrimedico.org/


*事業内容 

①アフリカにおける配置薬事業の普及・医療環境調査

②アフリカにおける健康に関する教育・啓発活動

③セミナー・イベント活動


 

文:榊原 千尋(津田塾大学総合政策学部1年)







         岡本 萌花(津田塾大学総合政策学部1年)




 







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