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執筆者の写真Tsuda Outreach

​NPO法人フォレシア様

更新日:2021年12月27日


 

不妊治療と仕事の両立が可能な社会へ

課題解決の本質はいかに問題を「自分ごと」として捉えるか

 




不妊治療費の負担と仕事の両立の問題を解決するために精力的に活動しているNPO法人フォレシア。様々な事業を展開し、研究開発費を募り、遠隔医療の発展から日本に止まらず世界中のどこにいても”納得”できる不妊治療を受けれるように活動しています。今回は、代表の佐藤高輝さんに取材をさせていただきました。


<佐藤高輝さんプロフィール>


1985年生まれ。秋田県秋田市出身。高校卒業後、地元企業に就職。27歳で独立し、庭の設計会社を設立。その後、プライベートで不妊治療を始め、それをきっかけに2017年に社会問題を解決する、事業型NPO法人フォレシアを設立。
















「必ずしも0から1を生み出す必要はない」





Tsuda Outreach (以下・TO):HPの方を拝見させていただいたのですが、光回線など、様々な事業を多くやられているなと感じたのですが、具体的な活動の内容を教えていただけますか? 佐藤さん:主に事業としては2つあります。1つは直接的な支援事業として、不妊治療者専門の転職、就職支援や福利厚生事業です。もう1つは支援を主体的に継続させるための事業です。 TO:なるほど…。具体的に企業と連携事業は行なっていますか? 佐藤さん:ハグミナ光という光回線を通信事業会社さんと作りました。回線の月額利用料金の一部が不妊治療の遠隔医療研究開発費として寄付される仕組みです。この事業は本来行うべき支援事業とは異なり、あくまでも継続的な資金を集めるための事業となります。その為、始めるのに時間や資金などのリソースを多くかけてしまうと本来の支援事業が出来なくなってしまう恐れがあります。0から1をわざわざ生み出すのではなくて、今ある仕組みを掛け合わせて作ることでそれを解決していきました。他には、利益の全額が不妊治療支援に寄付される「ハグミナショップ」やアプリ加盟店の売り上げの一部が不妊治療支援に寄付される「ハグミナコイン」という事業も行なっています。 これらも基本的には今あるしくみを掛け合わせてスピード感をもって作りました。 いずれも大事なのはNPOだからと助成金や補助金にだけ頼らないということです。 人口減少や社会情勢などによってそのような資金は減っていくことが予想されます。突然支援が出来なくなるリスクがあるのです。 そうなれば一番被害を受けるのは支援を望む方達であり、そのようなことは絶対にしてはいけません。だから主体的に継続できるしくみを持つべきなんです。

「全ては自分ごと」

TO:私たちの学校でSDGsや福祉社会学に関連した授業でNPO・NGOさんの方と話す機会があって、社会貢献を行なうNPO・NGOに興味を持って、活動をさせていただいているんですけど…。 佐藤さん:良い取り組みだと思います。やっぱり、社会に出て仕事をするとわかると思いますが、お金じゃないところって必ず出てくると思います。私は地元の高校を卒業してすぐ就職し、27歳の時に造園業で独立しました。生活のために仕事をするのがものすごく苦痛で、もっと自分の人生を生きたいと思ったからです。結果として会社員時代の数倍の収入になり、当時は色々とお金も使ってみました。だけど感じたことは、また「こんな人生でいいのだろうか」という感覚でした。その何か虚しさを感じているときにプライベートで不妊治療が始まりました。結果として現在、4才と1才の子どもがいますが、どちらも体外受精で授かりました。そこで感じたのが「不妊治療」という社会問題でした。子育て支援は社会に多くありますが、その前段階である不妊治療を支援するしくみがほとんど無かったんです。そこで自分の人生の軸として出来たのが、せっかくビジネスを色々勉強したんだったら、こういう社会問題を解決するためにビジネスの力を使った方がいいのではないかって思ったんです。 TO:社会問題を解決するためにビジネスの力を使う。すごく素敵な考え方だと感じます。 佐藤さん:ありがとうございます。でもこれは誰でも出来る事で、NPOで無くても出来ます。大事なのはどれだけ「自分ごと」として捉えているかだと思います。例えば会社に入ると、大体飲み会とかで会社や上司の文句を言う人がいます。そういうのをまともに聞いている環境って、どんどん思考がダメな方向に落ちていきます。本当は全部自分のせいって落とし込めなきゃいけないのに。世の中に起こること全部自分のせい、休みが無いというのも自分のせい、給与が低いのも自分のせい。そう捉えると、ものすごく成長すると思います。みんな人や環境のせいにしたがるので。学校生活でもあると思うけど。なんか授業がつまらないとか、何にこれを使うんだとか。それを自分だったらどう解決できるのかなとか、自分で解決してみよう、と感じれるようになると面白い人生になると思います。それが私の場合は不妊治療問題だったということです。 TO:文句を言うだけじゃなくて、解決方法を自分で探す。 佐藤さん:そうです。自分が学んできたことを何に使うかです。就職して、ただ会社から言われたことをやってるようだとそれはただの「作業」です。それでは認められないし、誰でも出来ます。この仕事ってどういう価値を誰に提供しているのか、どう言う大儀でこの事業をやっているのかっていうのを自分から積極的に追求し、実践していくことが「仕事」だと思います。 なので、学生さんによく言うのは、”人や環境のせいにしない。全部自分ごとだよ”っていうのを伝えてますね。

​〜あとがき〜 「夫婦の6組に1組の夫婦が不妊に悩んでいる」と言われています。(2018年1月4日第一生命さんの記事から引用) 。不妊はどんな人も経験する可能性のある問題です。他人事とは思わず、精力的に活動するフォレシアさんの活動を応援しませんか?

〈NPO法人フォレシア代表からのメッセージ〉 今回は興味をもって取材をしてくださり、ありがとうございました。 若い方が社会支援について興味があることがとても嬉しいです。 皆さんに言いたいのは、今この世の中にある「あたりまえ」は数年前までは 「不可能」だと言われ、笑われていたことです。 その時に、どうせ結果が見えるのは50年、100年後先だから自分には関係ない、 誰かがやってくれる、と捉えるか。 100年後の結果だとしても今から動くことで未来は良くなる。だから自分が今動こう。 と捉えるかで生き方は大きく変わります。 視野を広く、そして高くして歩んでほしいと思います。

 

フォレシアHP:https://forecia-japan.com/


<フォレシアさんの活動一覧>


 

文:岸野佑美(津田塾大学総合政策学部3年)



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