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  • 執筆者の写真Tsuda Outreach

NPO法人HERO様

更新日:6月12日


 

最高の仲間と最高の仕事をし、最高の人生経験を

 


 NPO法人HEROは、カンボジアの小中学生を中心に、学校建設や医療支援など、様々な支援活動を行っている団体です。それだけでなく、高校生〜社会人向けに、現地を旅行しつつも子どもたちのために学校を建設する「旅ぼら」と、72時間という短い時間で現地でビジネスを立ち上げ、売上金を子どもたちに寄付する「インターン」のイベントを定期的に開催しています。

 

 先日、Outreachメンバーの並木もHEROさんのインターンに参加し、1週間カンボジアで自分自身と向き合う貴重な経験をさせていただきました。今回は代表の橋本さんに、団体設立のきっかけや活動に対する思いについて伺いました。

 


<橋本さんプロフィール>


 1978年生まれ。法政大学公共政策研究科サステイナビリティ学博士後期課程2年。NPO法人HERO代表。「旅するように働く」を人生のテーマにカンボジアの教育問題に取り組む。

 










1 カンボジアでの活動をはじめたきっかけ


TsudaOutreach(以下TO):はじめに、自己紹介をお願いします。

 

橋本さん:私は大学生の頃、リュックサックを1つ背負って海外を飛び回るバックパッカーでした。アルバイトをしてお金を貯めては、長期的な休みに海外旅行に行っていましたね。カンボジアに初めて行ったのは20歳の夏でした。内戦が終わって国境が開放され、世界中のバックパッカーがカンボジアに行く流れに乗り、自分もカンボジアのアンコールワットを訪れました。そこで、学校に行っていない子どもたちが夢を語ってくれたんです。「僕は医者になりたい。怪我をした人を助けたいんだ。」と。しかし僕は、この子どもたちの夢はきっと叶えられないんだろうと感じてしまったんです。なぜなら、その子どもたちは学校に行けていなかったからです。大きな夢を持ちながらも、そもそも勉強をする環境がない、努力したくてもできない環境にいる子どもたちの存在を知り、帰りの飛行機の中で40歳までにカンボジアに学校を作ろう、子どもたちが教育を受けられる環境づくりをしようと思ったのが、HEROを立ち上げたきっかけです。


TO:橋本さんはこれまで多くの国を訪れたと思います。その中でなぜカンボジアを選んだのですか?


橋本さん:20歳の時に行ったカンボジアの帰りの飛行機の中で、絶対にカンボジアに学校を建てると決めたんです。学校を作りたい、なんとなく生きていた自分を頑張る自分に変えてくれたのがカンボジアだったからですかね。ですが、カンボジアだけではなく今はネパールにも学校建設を試みようと検討中です。ネパールを選んだ理由も、カンボジアと似ている部分が多いんです。人を騙さない、心の底から優しい人ばかりで、そんな国の力になっていけたらと思っています。


TO:HEROの活動、主に旅ぼらとインターンを思いついたきっかけはありますか?

 

橋本さん:最初は、NPOを運営しながら、企業の新卒採用の責任者の仕事もしていました。立教大学のある生徒の面接をした時、フィリピンでのスタディツアーに参加した経験から、カンボジアでもスタディツアーをやってみたいと言われました。当時、私はスタディーツアーのことを知らなかったので、その子と協力をしながら準備を進めていく中で、彼女が旅行会社と自分を繋げてくれたんです。結局彼女を含め立教大学の3人が、学生団体を立ち上げ、スタディツアーを年2回ほど実行していました。非常に面白かったですし、HEROでも学校建設が順調に進んでいたので、これからどんどん色々なことができるなと思い、途中から「旅ぼら」と独自の名称に変えて始めました。

 

インターンを始めたのは6年前です。学生が参加する企業のインターンは、採用目的なので学生さん自体のことをあまり考えてないんです。要するに、自己分析型、企業体験型、ロジカルシンキング型などの学べるような内容にはしていますが、結局は企業には採用目標人数があり、予算があり、、、。そんな状況に非常にモヤモヤしている自分がいました。もっと学生さんの力になるインターンにしたいと思い作ったのがカンボジアのインターンでした。私の体験上、自分で考えてお金を稼ぐ経験はビジネスをしていく上で一番大切だと思っているので、それを若い時に経験として積むことで経験としての大きな差になるなと感じています。という訳で、旅ぼらよりも厳し目の内容でインターンをやっています。

 

TO:大変でした、、、

 

橋本さん:大変だったでしょ(笑)

 

TO:ですが、とても良い経験になりました。大学で経営に関する授業はありますが、それを実践できる機会は滅多にないので、実際に自ら商品やサービスを作り出し、お客様に価値を提供するという経験ができたのは非常に大きかったです。














↑カンボジアインターンの様子。子どもたちに文房具やおもちゃをプレゼントした。

 


2 具体的な活動内容

 

TO:子どもたちのためにどのような支援を行っていますか?

 

橋本さん:学校、図書館、幼稚園や井戸の建設、医療事業として子どもたちの健康診断、親の所得向上のための職業支援など、子どもたちがよりよい学校生活を送るためのシステムづくりを行っています。

  また、最近は子どもたちの健康づくりのため、学校で一緒に野菜を育てる「学校農園」の取り組みも始めました。シンプルですが、子どもたちは野菜やタンパク質不足が原因で、病気にかかりやすくなっています。そのため、一人一人の病気の治療をしてもキリがありません。育った野菜を持ち帰ってもらい、家でも野菜を摂る習慣をつけることで、子どもたちやその家族の栄養状態を少しでも改善させたいと思っています。

 

TO:より多くの人に活動に取り組んでもらうためにしていることはありますか?

 

橋本さん:参加者の口コミだけでこれほどの人気があるので、やはり参加者本人の体験が1番の信頼になっているのではないかと思います。コロナ前の2019年は合計700人ほどの参加者が集まりました。多くの人が参加してくれて非常に嬉しいです。


TO:活動を通して、カンボジア人の生活はどのように変化していきましたか?

 

橋本さん:難しい質問ですね...カンボジアは成長している国なので、行くたびに生活水準は良くなっています。活動を始めた10年以上前と比べると、圧倒的に道が綺麗になっているし、電気も通るようになっています。そういった意味では、我々がやってもやらなくても、全体的には改善されています。ただ、昨年うちの1校目の卒業生とたまたま会ったら結婚して就職もしていて、その時に「HEROが学校を作ってくれてありがとう。だから今僕はここにいるんだ」と言ってくれました。その言葉を聞いた時に、この仕事をやっていて良かったと思いましたね。

 

TO:活動を通して気づいたカンボジアの良いところはありますか?

 

橋本さん:カンボジアの人の良さと、底抜けのフレンドリーさです。現地に行くたびに、彼らからたくさんの笑顔やパワーをもらっています。

  以前学校建設をしたときに、トイレが未完成だったので、近くの民家まで借りに行ったことがあります。彼らと言葉はほとんど通じませんでしたが、トイレを借りることを快くOKしてくれただけでなく、なんと昼食までご馳走してくれました。他にも、偶然出会った人たちと飲み会をしたり、間違い電話をしてきた人と仲良くなったり(笑)。日本ではなかなか見られない、このようなフレンドリーさや人当たりの良さが、カンボジア人のとても素敵なところだと思います。

 

3 新たな課題

 

TO:農業によって、子どもたちが学校に行けなくなるといった悪循環はありますか?

 

橋本さん:カンボジアには乾季と雨季があり、乾季の12月〜4月ごろは思うように農業を行うことができません。そのため農家の家族は、首都のプノンペンや隣国のタイまで出稼ぎに行かなければならず、子どもたちがその間学校を休学してしまうという問題があります。乾季が終わって学校に復帰しても、ブランクのために授業についていけず、進級テストに落ち、留年してしまう子どももいます。

 

TO:衣服の寄付に関して、カンボジアで問題になっていることはありますか?

 

橋本さん:寄付する側である先進国の意識が低いという問題があります。我々も一度寄付を試みたことがあるのですが、送られてきたのはボロボロの服や、冬服など熱帯に住むカンボジア人には必要のない服ばかりでした。寄付をする際には、子どもたちが満足に衣服を得られないという状況を知り、どんな服を必要としているのかを今一度考えた上で、寄付をしていただきたいです。

 

TO:今後の目標はなんですか?

 

橋本さん:「子どもたちがどのような取り組みをしたら学力が上がるのか」を分析することで、より効果的な教育活動に繋げたいと思っています。

  私は今、法政大学大学院公共政策研究科の博士課程の学生として「カンボジアの子どもたちの学力の要因」について分析しています。具体的には、子どもたちに学力テストとアンケートを実施し、その点数とアンケート項目(通学時間、家の資産など)を統計解析していくことで、子どもたちの点数が低い原因が何かを調査しています。

  僕たちも含めてですが、日本のNPO法人は活動した結果をしっかりと効果測定して評価している団体がほぼありません。NPOの活動がどれだけ現地のためになったのか、研究者としてエビデンスを出し、それを団体の活動にフィードバックしていく、そんなサイクルを作っていきたいと考えています。将来的にはカンボジアも、日本のような豊かな教育環境を実現させたいと思っています。

 

〜最後に〜


TO:活動のやりがいを教えてください!

 

橋本さん:学校建設が終わった後、完成式として村人や先生たちと宴会をする時間が大好きです。私はお酒を飲むことが好きですが、銘柄ではなく、誰と飲むか、どんな仕事をしたあとに飲むかを大事にしています。最高の仲間と、最高の仕事をして、最高のチョルモイ(クメール語で「乾杯」)がしたいです。

 

また、我々は長年内戦に苦しんできたカンボジア人の火薬に対するネガティブなイメージを払拭したいという思いから、カンボジアの学校で花火を打ち上げる「花火プロジェクト」の活動も行なっています。(今度は2024年11月15日開催予定)

 

今後はその活動を発展させ、日本×カンボジア フェスのようなイベントを現地で開催したいと思っています。そこで一番したいことが盆踊りです。音楽に合わせて輪になって踊ることで、日本人とカンボジア人の繋がりをより深めることができたら嬉しいです。












 ↑初めての打ち上げ花火に喜ぶ子どもたち。(HPより引用)

 

TO:最後に、学生にメッセージをお願いします!


 橋本さん:多くの学生が、行動範囲を自分で制限してしまっている印象があります。成功を求めなくていいので、ひとまず思いっきりやり散らかしてみてほしいです!自分の視野を広げるために、お勧めな方法が3つあります。

 

1つ目は「活動場所を変えること」です。積極的に海外など住み慣れた街から離れた地域に行き、異なる生活習慣や価値観を学んでみてください。

2つ目は「付き合う人を変えること」です。周りの友人やバイト先の人だけでなく、普段だったら出会わないような人にも積極的にアプローチをしてみてください。

3つ目は「読書」です。特に歴史。技術や文明は発展してきましたが、人間自体ができること、能力はあまり変わっていません。そのため、恋愛や仕事など、当時の人と共通した悩みを我々も抱えています。歴史の本を読むことで、時間軸の視野を広げられるだけでなく、問題解決のヒントも探すことができます。

 

学生時代の挑戦の振れ幅が大きければ大きいほど、その先の人生の選択肢も広がると思います。「また違うこと始めたの!?」と周りに驚かれるくらい、ぜひやり散らかしてみてください(笑)。

 

TO:ありがとうございました!


 

代表者メッセージ


こんにちは!

NPO法人HEROの橋本です。

記事を読んでいただきありがとうございます。

「可能性0%を1%に変える」をミッションに教育・医療・貧困の分野で活動をしています。

記事内にもありますが、旅ぼらとビジネスインターンという現地訪問ができるプログラムも実施しています。

記事を読んで興味を持って頂けましたらHPやSNSも確認してください!

カンボジアでお会いできること楽しみにしています!


 

NPO法人HERO様の活動一覧



 


文:並木 優衣(津田塾大学総合政策学部3年)










文:日下部 玲子(津田塾大学総合政策学部2年)

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