お母さんたちが自立して暮らせるように
こどもたちとお母さんが、笑顔で、安心して暮らすことができる 住環境を全国で増やしていきたい
シングルマザー専用シェアハウス「ペアレンティングホーム」を、日本で初めて形にした全国ひとり親居住支援機構。今回は、代表の秋山怜史さんにお話をうかがいました。
<秋山怜史さんプロフィール> 一級建築士事務所秋山立花代表。 「社会と人生に新しい選択肢を産みだす」ことを理念に掲げ、平成20年に一級建築士事務所秋山立花を設立。 住宅、共同住宅、保育園などの設計活動を行うとともに、社会課題を解決するためのプロジェクトを企画。 平成24年、全国で初めてとなるシングルマザー専用シェアハウス「ぺアレンティングホーム」を企画。 居住貧困に陥る可能性が高い母子家庭に対し新しい住環境の選択肢を産みだした。 その後、全国の母子向けのハウス運営者を支援するために、ポータルサイト「マザーポート」を立ち上げて運営。 令和元年からはNPO法人全国ひとり親居住支援機構代表理事。 平成26年から30年横浜国立大学非常勤講師。 平成27年から28年神奈川県地方創生推進会議委員。 京都市ソーシャルイノベーション研究所フェロー。 長野県立大学ソーシャル・イノベーション創出センターアドバイザリーメンバー。
「0→1を作ることの連続」
Tsuda Outreach(以下・TO):秋山さんが、「全国ひとり親居住機構」というNPOを立ち上げられた経緯について教えてください。 秋山さん:もともと私自身がそのようなひとり親家庭環境であったわけではなく、また近くにいたわけでもないんです。しかし、30年くらい前から言われていたことなのに、子育てと仕事の両立ができない社会というのはおかしいのではないか、と考えていました。 私は建設設計事務所を経営しておりまして、自分はどのような方法ならその問題に着手できるのか、と考えていました。そこで、「子育てのシェア」という言葉が浮かんだんです。こうすれば子育てと仕事の両立がしやすく、子供を産みたいと思える人が増えるのではないのか、この単純な考えから始まったのですよ。 建築を学ぶことにより、0→1を作り出すことが染み付いていました。そこで、その職能の自分には何ができるのかという考えのもとで活動しています。 TO:なるほど.....そこから、具体的にどのように動かれたのですか? 秋山さん:そして、何から始めれば良いかわからなかったため、3〜4年かけて会う人会う人に尋ねていきました。2012年のことですが、そこでようやく保育園の経営者さんとシェアハウスを多く運営していた不動産会社の社長さんが賛同してくれました。そして、シングルマザーを対象にペアレンティングホームを立ち上げました。現在では、シングルマザーのシェアハウス(登録済みは24件)だけではなく、シングルマザーに優しい不動産会社というものも増えています。これからこのようなものを増やしていきたいと思っています。 また、それは今までに例のないことだったので、メディアなどでも取り上げられる機会になりました。そして、この活動を真似してくださる同士の方が多く、始めた時にその方達が活動の中で困っていることを知りました。そこで「motherport」というサイトを立ち上げ、その方達の支援をしたいと考えたんです。そのタイミングで、NPOを立ち上げようかという話になりました。
「愛娘たちの未来がより良いものになるように」
TO:今後の展望についてお教えいただけますか? 秋山さん:はい。みんなが思いつくようなことはたくさんありますが、それを実際にやるというところにすごくハードルがあります。考えていても、9割9分9厘の人が実際には動いていないと感じます。 だから課題が解決できないと考えています。そこで0→1を生み出してくれるような人が増えるといいなと思っています。 TO:具体的にやりたいことなどはございますか? 秋山さん:お手伝いができるところがあればぜひしていきたいです。例えば、学生さんが多く集まる場での講演などは、とてもやりたいですね。実際に動く子たちを増やしたいと思っています。自分の愛娘たちが生きる未来が良いものになってくれるといいなと思いこれからも活動を広げていきたいと考えています。 TO:そうですよね....確かに、最初の一歩がなかなか踏み出せませんよね。私たちも、今できることに全力で取り組んでいきます!
~あとがき~ 0→1を生み出すことの大変さを改めて実感しました。今できることは何があるのか、 自分の視点で考えること、それをどうにか行動に移そうともがくことが必要ではないでしょうか。 みなさんも、今から未来のための第一歩を踏み出しませんか? <全国ひとり親居住機構代表からのメッセージ> 自ら疑問を持ち、自ら考え、自らの意志で行動すること。 当たり前と思われるかもしれませんが、思いの他、人は行動に移せないものです。 私たちの暮らす街、地域、国、世界をよりよいものにするためには、まだまだ、行動する人が足りません。より良い未来を残せるように、自らができることを共に行なっていきましょう。
<全国ひとり親居住機構さん活動一覧>
上星川商店街活性プロジェクト:https://akiyamatachibana.com/propose/kamihoshikawa ペアレンティングホーム:http://parentinghome.net/ マザーポート: https://motherport.net/ 川崎ウェディング:https://kawasaki-wedding.com/ シェアオフィスcosmos:https://akiyamatachibana.com/propose/cosmos
文:岸田万潤(津田塾大学総合政策学部3年)
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