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特定非営利活動法人セブンスピリット様

  • 執筆者の写真: Tsuda Outreach
    Tsuda Outreach
  • 10 時間前
  • 読了時間: 8分

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未来をつくる子ども教室

〜「セブンスピリット様」取材記事〜

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セブンスピリットはフィリピンの子どもたちが音楽とスポーツを通して、子どもらしく遊べるように活動しています。

今回は、理事長である田中宏明さんにインタビューさせていただきました。


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セブンスピリット理事長:田中宏明さん

2011年にフィリピンのセブ島に語学留学に行き、翌2012年にセブンスピリットを設立されました。


<目次>

*団体の設立

*団体の活動

*今後の目標

*フィリピンの現状

*メッセージ



*団体の設立

Tsuda Outreach(以下・TO):はじめに、セブンスピリットさんの設立経緯について教えてください。


田中さん:2011年、海外で子どもに関わるNPOやNGOをやりたいと思ったことがきっかけでセブに語学留学をして、偶然孤児院を訪れる機会がありました。そこで日本の大学生が子どもたちに鍵盤ハーモニカを教えていて、その学生と仲良くなりました。話を聞いていくうちに、彼が「音楽教育をやりたい」という思いを持っていることを知り、「それなら、うちのNPOがバックアップするのでやってみたら?」とサポートしたのが始まりでした。


TO:初めからNPOやボランティアに興味があったのですか?


田中さん:全くなかったです。NPOの存在すら知らなかったし、子どもにも特別な関心もありませんでした。元々雑誌のライターを10年ほど続け、20代はずっとその仕事をしていたので、30代では全く違うことをしようと思ったんです。そこで調べていたら、たまたまNPOがでてきて。じゃあやってみようかなくらいの感じです。その後、具体的にどこで何をするかは決めていなかったのですが、セブ島の語学留学で多くの人と出会い、流れに身を任せてたら今までやっているような感じですね。



*団体の活動

TO: 学生のボランティアを募集していると思うのですが、毎年どのぐらいの方が参加されていますか?


田中さん:スタディーツアーや、長期のインターンなどいろんな活動をしているので、それを全部含めていいのなら年間 1000 人ぐらいです。


TO:すごい!たくさんの方が参加されてるんですね!ちょうど今の季節、スタディーツアーなどの企画がたくさんあったのではないかと思いますが、具体的な内容について教えてください。


田中さん:1日のスタディツアーの場合は、朝に来てもらい、僕が 1 時間お話して子供が住んでるスラムに 1 時間連れて行きます。戻ってお昼ご飯を食べ、子供と交流して彼らの演奏を聞いてもらい終わりです。

あとは、10 日間ぐらいのオーケストラのプロジェクトもやっています。先週終わったところですけどね。日本からは大学生が 62 名来て、うちの子供たちと一緒に音楽を練習しました。小学校で演奏をしたり、最後はセブンスプリットの子たちと一緒に、 100 人くらいのオーケストラで会場を借りて演奏するんです。年に 2 回やっています。それは収益源にもなるし、子供たちにとっても日本の音楽好きな大学生と 10 日間がっつり交流できるとても良い機会になっています。この取り組みは、変わらず続けていきたい取り組みの 1 つですね。


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TO:実は私たち音楽やってて、サックスとユーフォニアムなんですけど…。でもオーケストラですもんね。


田中さん:サックスは10人くらいいたんじゃないかな…。ユーフォニアムの子もいましたよ。


TO:サックスとユーフォニアムを混ぜてくれる貴重なオーケストラですね。

セブンスピリットさんのホームページには、スポーツをしている楽しそうな写真も載っていますが、この活動は子どもたちの要望から始まった活動ですか?それとも、セブンスピリットさんがスポーツ活動があったら子供たちにとって良いと考え始めたのですか?


田中さん:後者ですね。当初は、特に男の子で音楽が合わずにやめてしまう子が多くいました。そうした子どもたちがスラムに戻って覚せい剤を売るようになり、捕まったケースもあります。そこで、音楽が合わずに来なくなる子のために、スポーツなど別の活動を用意したいと思いました。スポーツがあれば、子どもたちは覚せい剤を売るようなことはなかったと思うので。今は彼らも大きくなっていますが、スラムで会うと今でも「スポーツやりたい!」と僕に言ってきます。子どもたちに新しい可能性を広げるために始めたのがスポーツ活動です。子供が興味を引くような、熱中できるようなものを作ってあげたいなと思っています。


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TO:ありがとうございます。これらの活動を通して、やりがいを感じたのはどんな時ですか。


田中さん:子供たちが新しい経験をしてる時にやりがいを感じます。 緊張したり、 ドキドキしたり。良い感情だけではなくて、嬉しいこともあるし、悲しいこともあるし、感情がたくさん動いてる時は良かったなとは思いますね。


TO:素敵ですね。ありがとうございます。


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*今後の目標

TO:先ほど、20代の頃にライターしていて、30 代になってNPO の活動を始めたというお話をお聞きしましたが、今後の目標はありますか?


田中さん:迷っていますね。音楽をもう少し突き詰めていくのか、音楽は手段の 1 つなので、スポーツとか、絵を描いたりダンスしたり、そういういろんなところにも広げていくのか、音楽 1本に絞るのか?というのは何度もこれまで迷ってきてますけど。改めて今また迷っていますね。


TO:何かやってみたいと思うことはありますか?


田中さん:大学に 4 年行くとその後の給料や就ける職業の選択肢が広がりますが、貧しい子が多いので、その 4 年を待たずに働きたい子もいます。大学進学ではなく働くための専門学校を作り、働きたい子どもたちのための取り組みについて考えているところです。


TO:貧しい子供たちの将来に向けての新たな支援も検討されているんですね。 


はい。仕事につけるよう大学に行ける道はできたので。一方で、家庭が貧困すぎて大学に行く 4 年間を待てず、高卒ですぐ働きに出たいという子もいます。そのような子たちのために専門学校のような支援ができないか考えています。職業訓練的な。



*フィリピンの現状

フィリピンの現状についてもお話ししてくださいました。


田中さん:フィリピンは人口がどんどん増えていて、今は 1億1000万人を超えています。去年だけでも 150万人人口が増えています。あと数年あと 4、5 年で日本の人口抜くと言われてて、将来的には 1億8000万人ぐらいまで行くという予測が出ています。

子供が多くなれば、国の成長の度合いは良くなりますが、その分企業も働く人をより好みできるので、日本のように働き手がいないから、誰でもいいから面接して雇用したいというわけにはいきません。フィリピンは、1人採るためだけでも100 人の中から選べるような状況にあります。そういう意味では日本よりも学歴社会だと思うんですよね。

大学に通ってないとマクドナルドでバイトすらできないような現状があるので。そういう意味では大学に行くのは選択肢を広げるためにとても重要なことだと思いますね。


TO:フィリピンがそのような状況であることを初めて知りました。フィリピンは島国ですから、島を越えて働きに行ったり、海外に働きに出る人も多いですか?


田中さん:そのような人は結構多くて、海外に出てる人も多いんです。1000万人以上の人が海外に出稼ぎに行っています。フィリピンでは給料が 1 ヶ月 4、5万しかもらえないんです。しかし、物価は上がっています。フィリピンの平均的な給料ではなかなか生活ができないということで、日本や中東に働きに行く人がたくさんいます。


TO:そのような状況だと、子供たちが大学を出て、仕事につける環境は大事ですね。


田中さん:大事だと思いますね。僕も最初は自分がやりたいことや楽しいことでご飯を食べられるるようになればいいなと思っていましたけど、フィリピンは全くそんな状況ではなくて。ほとんどの子供たちは、「何の仕事でもいいからお金稼いで家族を楽にさせてあげたい。」と考えています。自分よりも家族のために働く子がほとんどなので。正規雇用で固定収入が得られるならすぐに働きたいという子もいます。これがきっかけで、専門学校的な雇用につながる動きをしてあげたいなと思うようになりました。



*メッセージ

TO:最後に、この記事を読んで下さった人にメッセージをいただけますか?


田中さん:大体海外でNPOをやっていると言うと、特別なスキルがあったり、特別に選ばれた人がやっているんだなと思っている人や、僕のことを先生と呼ぶ高校生もいるけれど、僕は全く偉い人間ではないです。ボランティアはハードルも高くない誰でもできることです。やろうと思えば今からでも始められるので、ハードルを上げて「私なんてできない」と思わない方がいいんじゃないかなとは思いますね。僕ができるぐらいなので、誰でもできます。作ろうと思えば中学生でも NPO を作って代表になることはできると思うので。あまり難しく考えずに、とりあえずやりたいことやってみたらいいんじゃないかなと思います。


TO:やりたいと思ったことがあったら、ハードルを上げずに、どんどん積極的に行動してみることが大切ですね。ありがとうございました。


〜あとがき〜

セブンスピリットさんの活動は、音楽やスポーツを通して子どもたちの新たな可能性を広げるものであり、子どもたちにとっても、ボランティアに関わる人々にとっても、かけがえのない経験になると感じました。また、フィリピンの現状について新たに知ることが多く、新たな学びになりました。


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<セブンスピリットさんの活動一覧>


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文:戸口真歩(津田塾大学総合政策学部2年)

 
 
 

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