top of page
執筆者の写真Tsuda Outreach

特定非営利活動法人REN様


 

支援者と難民が仲間として支え合う

ケニア北部のカクマ難民キャンプから

日本に至るまで


 



 ロシアによるウクライナ侵攻により、国内で避難した人は600万人、国外に逃れた人は400万人を超えました。しかし、ウクライナ避難民に対する支援ばかりがフォーカスされていますが、日本に既に数多く存在する、日本に庇護を求めてきている人々に対する官民の対応はどうでしょうか。これら避難民への支援は公正に行われているのでしょうか。難民自立支援ネットワーク (REN: Refugee Empowerment Network) は、難民、難民認定申請者、庇護希望者、本国帰還難民、第三国定住難民、国内避難民、支援者をネットワークで結び、難民の経済的・社会的自立を積極的に支援を主要目標とした特定非営利活動法人です。今回は、RENで活動されているボランティアの木森隆さんと、小林麻里さんに取材をさせていただきました。


 

木森隆さんプロフィール>



1955年生まれ。40年近く、国内外の金融機関や、SWIFT取締役理事等を務め、2021年4月から津田塾大学の内部監査室長の職に。RENへは2018年から参加。


「特定非営利活動法人REN」とは?


Tsuda Outreach(以下・TO):まずは、特定非営利活動法人RENがどのような団体なのか簡単に紹介してください。


木森さん:RENは15年前に現理事長の石谷尚子さんが小学校の同級生のメンバーと団体を立ち上げたのが始まりです。RENはお金を配る慈善団体ではなく、難民が日本で少しでも自立できるようにサポートすることを活動の目的としています。


木森さん:主な活動内容の一つはビーズアクセサリーの製作と販売です。ビーズアクセサリーの作り方を教え、完成した製品をバザーやオンラインで販売し、その収益で製作者や他の難民の生活を支援しています。また、週に1回、日本語とヨガを指導する教室を開いています。その他、日本在住の難民への奨学金の提供や社会生活や就職のお手伝いもしています。




TO:RENの個別支援としては何がありますか?


小林さん: 一概に難民申請者と言っても様々な立場の方がいます。住民票が設定できる人、できない人、 就労の出来る人、できない人等々です。しかし、行政の仕組みや情報は言語のギャップもあって届きにくく、手続き方法を理解することは大変なことです。電気やガス、水道の支払い等についても同様です。また、彼、彼女らは非常にストレスフルで不安定な状況に置かれています。健康状態や精神状態も不安定な方が多いです。ですから、お一人お一人との信頼関係を少しずつ築きながら、困っていることの相談を受けた際には、出来ることから一緒に対処をするように努めています。必要な際には市区町村に同行したり、通院に同行をしたりすることもあります。



「 “仮放免”という足枷」



TO:「仮放免」というのは、難民収容施設から仮放免された方を意味しますか?


小林さん:それだけではないです。入管施設に収容されたことがなくても、仮放免というステータス(在留資格)の方もいます。難民申請の仕組みは非常に複雑なので、理解するのがなかなか難しいと 思います。我が国の難民認定率は0.1%と言われており、申請を棄却された場合、その結果を覆すことは容易ではありません。よって認定されない方々は様々な状況下でサバイバルせねばなりません。特にこの仮放免の方々の置かれている環境は非常に厳しいです。


木森さん:「特定活動」を認められた在留カードを交付された場合は仕事に就くことができますが、「仮放免」場合は社会に出ても仮放免就労許可が得られないので、食べる道さえないのです。また仮放免の場合、数か月ごとに入管施設に出頭し、書類の更新を行うのですが、出頭が遅れたりするとそのまままた収容されるケースもあります。私が知っている例として、子供が2人いるコンゴ人の女性が入管施設に行くのが1日遅れ、そのまま3年数ヶ月収容されてしまったこともあります。


小林さん:入管の立場からすると、仮放免の方々はとにかく早く帰国しなさい、と いうスタンスです。ですから就労許可もなく、住民票も設定できない短期間の在留許可なので、国民健康保険にも入れない。よって病気になれば就労も出来ない中で100%の支払いになります。そういう過酷な状態です。


TO: 支援を行う時、ハードルになるのは何ですか?


木森さん:難民となった理由は政治活動、宗教、民族、信条、言語等々様々ですけども、例えば現状の政府に対する反対活動をして日本に逃れてきたケースの場合、その国の政府の出先である大使館や領事館には彼らのブラックリストに載せられるリスクがあるので絶対に行けない。でもパスポートがなくて日本で難民認定されないという困った状況があります。また、反政府活動で対立する政治意見を持っている方々双方が日本に逃れて来ている可能性もあります。難民の中にもいろんな利害関係がありますから、我々も安易に同国人だからと思って誰かを誰かに紹介するなどしないように気を付けています

小林さん::ハードルばかりです。まず、仮放免の方の場合は住民票がないので、行政のサービス がほぼ全て利用できません。ないない尽くしです。無力を痛感します。個人的なサポートに頼るしかないことが多々あります。その中で、常に支援される側の気持ちも考えなければなりません。自立する術がなく、支援だけ受けることは辛いことだと口にする方々も少なくないのです。

これは個人的経験からですが、個人的支援というのは個人の判断で行っているわけですから、その支援がいつまで続けられるのか分からないという双方が不安な関係なので、その現実は支援される側にとって非常にしんどいものだろうと思います。




「今後の課題」


TO:他団体との協働に関して実例を紹介してもらいたいです。


小林さん:難民支援している団体は多くはないです。それぞれの特性を生かした活動をされているので、まずは他団体がどんな支援をされているのかを知る為にアンテナを張っています。我々だけで出来ることは少ないからです。例えば、日本で生きていくためには日本語の習得が必須です。が、RENの日本語教室は、週に1回のみなので、それだけでは就労準備の為などには不十分です。一方で、1週間に5日間など、インテンシブなコースを提供している団体もあります。就労支援をしている団体もあります。よって、そのような情報を必要とされる難民申請者の方々にそれらの団体の存在を知らせ、必要な場合は私たちから推薦したり、問い合わせをしたりしております。(支援目標が類似している他団体と協働でクラウドファンディングの申請をしたこともあります。) 小林さん:また、海外の難民キャンプで活動している他団体や国内の他団体から、強い向学心を持った学生の推薦がある場合には、本人と面談し必要性を判断した上で、奨学金の支援を行っています。



TO:特定非営利活動法人RENさんの今後の課題を教えてください。


小林さん:私たちの団体が抱えている最も深刻な問題は、活動資金の不足、スタッフの高齢化、若手スタッフの不足です。特に活動資金の不足の最大の原因は、2年余りに及ぶコロナ禍によって活動資金の源であるビーズアクセサリー販売の機会が殆ど失われたことです。この間に、「日本語・ヨガ教室」など難民との主要な接点だった活動もほとんどが中断を余儀なくされました。そのために、参加者だった難民申請者のみなさんを取り巻く環境も変わり、連絡が取れなくなった人たちも増えました。現在の参加者の数はかつての三分の一以下にまで減っています。今後はまた一から、必要とされるニーズを掘り起こしながら、出来ることを一つ一つ継続していきたいと思っています。


小林さん:その中で私の中では難民申請者のこどもたちのことが気がかりです。特に仮放免の未成年者は日本で約300人いると言われます。が、住民票がないため行政も把握が難しく、義務教育である小学校に就学 するにも市区町村に親が申請しなければなりません。就学できることになったとしても、それまで に日本語習得のチャンスがないままに一年生になるこどもたちを目にしてきました。そのような状況下にある子どもたちも含めて親御さんと一緒に様々な活動のできる居場所のような環境を作っていきたいと思っています。


TO:お話いただきありがとうございました!




〜特定非営利活動法人RENさんからメッセージ〜


新刊書籍(声なき叫び)

アフガニスタンでの迫害を経て ノルウェーに移住し社会人類学者になった著者は、 福祉の網の目から抜け落ちたマイノリティ女性たちの存在に気づく。

女性たちからの聞き取りから明らかになる、 移民・難民の受け入れ先進国、ノルウェーの課題と実態。​

RENでは著者割引で販売しています。

割引価格でお求めの場合にはrefugee.empw.netwk@gmail.comまで。

*津田塾大学生の場合、図書館で借りられるので、是非ご覧ください。



〜あとがき〜


<RENの日本語教室を訪ねてみました!>




特定非営利活動法人RENは、コロナで中止を余儀なくされた日本語教室を今年の4月から再開しました!日本語教室では、日常生活で使う表現から、お金の単位を数える方法、自分の名前と住所の書き方など、一人一人のニーズに合わせて生きていくための日本語が教えられていました。日本語を教える方たちは全員ボランティア活動として教室に参加していました。「支援者が難民と仲間として支え合う」というスローガンの意味が現場で伝わってきました!


<難民と日本人支援者が制作したビーズ製品のオンライン販売!>




Creemaのオンライン販売サイト をリニューアルし、by Rというブランド名で販売を始めました。サイトのURLは下記の通りです。クリスマス製品を並べて華やかなページになりました。ぜひご覧ください。

by R creem

Facebookページ:by R

Instagram : by R

 

<特定非営利活動法人RENさんの活動一覧>




Kakuma News Reflector 日本語版:https://www.npoposse.jp/magazine/



 


文:チョンタヒョン(津田塾大学総合政策学部3年)




閲覧数:86回0件のコメント

最新記事

すべて表示

Comments


bottom of page